Emi Evans(エミ・エヴァンス)さんは、今日様々な国際的プロジェクトに参加し活躍する音楽家・歌手である。数多くのTVCMのほか、世界的に人気を博するゲーム『NieR』シリーズや『DARK SOULS』、スター・ウォーズ最新作の『Star Wars:Visions』、現在放送中のNHK連続ドラマ『ちむどんどん』など、国内外の多種多様な作品に参加してきた。
今回のインタビューでは、英日ハーフである彼女から、文化・言語・風景などを切り口として、その独創的な表現手法とその制作秘話、歌に込められた想いを聞き、また彼女自身の原体験と未来について語ってもらった。
「録音が終わったら本当に旅から、いい旅から帰ってきたみたいな気持ちになりますね」
――現実と架空の、過去と未来の、ローカルとグローバルのさまざまな世界観を表現してきた彼女のクリエイションを、その半生とともに紐解いていく。
伊藤 幼少期に過ごした場所や、生まれた場所は?
エヴァンス ロンドンで生まれました。そして、3歳のときに引っ越しして、Nottingham(ノッティンガム)というイギリスの真ん中の方の街で育ちました。ノッティンガムは、ロビンフッドの街として有名ですが、そこで18歳まで暮らしました。
イギリス・ノッティンガムの中心地の街並み
伊藤 ノッティンガムはどういう場所なんですか? 都市ですか?
エヴァンス 都市です。小さな都市だけど、けっこう素敵なナイトクラブがいっぱいあったり、ショッピングする場所もいっぱいあるし、大きい大学もあります。
伊藤 栄えている地方都市という感じですか?
エヴァンス そうです。田舎とは言えないですけど、15分ぐらい車でドライブすると、すごく綺麗で長閑な感じの牧草地が広がっていて。
伊藤 なるほど。今、少し地図で見てみますね。
エヴァンス Thank you. そう、このWollaton Park(ウォラトン・パーク)の隣に住んでいたよ。
伊藤 A52って書いている所?
エヴァンス そう。小さい頃から。
伊藤 大きい公園ですね。
エヴァンス けっこう大きいですね。鹿がいっぱい歩いていたりします。ウォラトン・パークは映画とかにも出るところですけど、小さい頃から普通にその中に遊んでいました。
ノッティンガムで暮らした幼少期
ウォラトン・パークとそこに自生する鹿たち
伊藤 ここは、昔のお城の史跡とかですか?
エヴァンス そうですね。Wollaton Hall(ウォラトン・ホール)という建物がありますが、映画の中では、引退したバットマンが住んでいた実家として出てきます(笑)。実際にも、昔は誰か高貴な人が、そこに住んでいたみたい。
伊藤 ノッティンガムの王様?
エヴァンス 王様には、Nottingham Castle(ノッティンガム城)があります。そこはそこで、すごい古い歴史があって。
伊藤 じゃあ、この公園は、貴族か、地主とかが住んでいた所なんですかね。
エヴァンス そうだと思います。
Nottingham castle(ノッティンガム城)
敷地内の良好な自然環境の中に、大小の洞窟や秘密の地下通路が張り巡らされている。幼少期は父と訪れ、10代の頃は友人と訪れ、音楽をつくるときは一人で訪れ、そして夫である啓一さんがエミさんにプロポーズした場所でもある。人生の要所で度々訪れてきたこの史跡は、エミさんに様…
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