東京大学名誉教授・篠原修(景観工学・設計計画思想史)が手に取った本の内容を、本人の語り口で紹介する書棚のぞき見企画。
GSデザイン会議のメールニュースで配信された約200本に及ぶ記事から編集部でピックアップして掲載します。
今回は第五回を掲載。
小林信彦の著書『日本の喜劇人』。
戦前から戦後の激動を生き、彩った喜劇文化のすゝめ。
2013年10月7日 篠原修
相変わらずバタバタと出張していて、大分間があきました。
今回は喜劇に関する本でいきます。 喜劇と言っても世代差があるので、若い人には違和感があるかもしれませんが。
篠原は1945年生まれなので記憶に残っているのは1950年代後半からのもの。
テレビでみたのは、かの黒柳徹子が出ていた「チロリン村とクルミの木」が最初でした。1957年の春の来宮の旅館のNHK。
コメディアンが登場する番組は、その後の草笛光子の「光子の窓」やピーナッツがレギュラーだった「シャボン玉ホリデー」を見始めたのが最初だった。エノケンやロッパはもう一世代前である。
中・高・大と大いに楽しんだのに、その手の本を読んだのは極最近で、もっと早く読むべきだったと後悔している。
今回のお勧めの本は小林信彦の「日本の喜劇人」新潮文庫で、古川緑波、榎本健一以下の代表的な人物が論じられています(小林は1932年東京生まれで早熟故にロッパ、エノケンを見ていたのです)。
僕の年代でベストスリーを挙げるなら、森繁久弥の駅前シリーズ、社長シリーズ(映画です。三木のり平ほかの脇役が良い)、クレイジーキャッツ(ハナ肇、植木等、谷啓ほか)と青島幸男、コント55号でしょうか。
ドリフターズから子どもっぽくなり、今のお笑いタレントの質の低下は見るに耐えません。
「テレビの黄金時代」も併読されるとよろしいかと。ただ見ていないと本では分からないかとも思いますが。

小林信彦『日本の喜劇人』新潮文庫, 1982