ベトナム・ハノイを拠点に国際的に活躍する建築家・丹羽隆志さん。今回のインタビューでは、前編のレビューをもとに、ベトナムで活動するに至った経緯や、若かりし頃の体験などを話してもらった。
盟友ヴォ・チョン・ギア氏との出逢い、東京で過ごした自由で孤独な期間、岡部憲明氏の事務所での修行時代など、今日の丹羽さんを形成する人生の様々な局面が思い起こされ、最後は生まれ故郷の白山から、現在のエントロピーを最大化するというハノイまで一挙に戻っていく。
――北国に生まれ、亜熱帯を駆け抜ける建築家の過去と未来を覗き見る。
崎谷 そろそろ会場から質問が来ますかね、いかがでしょうか。
会場 よろしくお願いします。ベトナムには独特な地元の建て方とか構法はありますか?日本では神社などが代表事例だと思うんですけど。
丹羽 ベトナムでもお寺はあります。あとは、伝統住居もありますよ。ベトナムは54民族かな、人口の80%はキン族なんですが、それくらいの数の民族があって、山岳民族の住居などは非常に面白いものがありますね。あとは街の中にディン、漢字で書くと“殿”と書きますが、日本で言ったらコミュニティセンターの役割を果たしている伝統的な建物があります。それは非常に面白いつくりです。
崎谷 なるほど。そういうものは行ってから、少しずつ知った感じですか?
丹羽 そうですね、本当に。
崎谷 ちなみに、日本にいるときにベトナムに行く機会はあったんですか?
丹羽 初めてベトナムに来たのは、2002年かな。2週間くらい。ギアさんの地元の中部のほうとハノイと。その旅行が初めてでしたね。
崎谷 初めての海外旅行もベトナムだったの?ギアさんと行ったんだ(笑)。
丹羽 そうですね(笑)。
崎谷 あ、別の方からも質問がありますね。
会場 よろしくお願いします。あの、僕もベトナムに行ったことはあるんですけど、そのときはホーチミン市とダナンに行ったんです。ダナンは大きい都市とお聞きしているのですが、都会から少し離れたところに、いわゆる一般的な住宅というか、簡素な…
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