世界中を旅する歌手、松田美緒さん。これまでに様々な文化圏の民族と交流し、また現地の音楽家たちと楽曲を製作してきた。その歴史的、民俗的、考古的とも言える感性と創造性はどこから生まれてきたのか。そして、どこへ向かっているのか。彼女の見てきた風景を通して、その源泉と未来について語り合う。
2021年12月1日の昼過ぎ。東京都文京区本郷のトラットリアにて。
崎谷 アルバムはどうですか?リリース後、一ヶ月ほど経ったのかな?
松田 手売り押し売りで頑張ってますよ(笑)。このあいだ、アルバムアート展もやらせていただいて。東京でもやりたいんですよ。
新アルバム『La Selva』のアートワーク
崎谷 写真で拝見しました。すごい綺麗でしたね。あのアートは、なにで出力したんですか?
松田 あれは、写真と絵の中間のような作品で、京都に住むアーティストのGak Yamadaさんが創ってくれたんです。彼は悟ることを目標に生きているような人で、芸術も悟りの道のこととして考えていて、護摩焚きをするような感じで、スキャナの上にものを載せていくんです。そこがサーっと光を放つみたいな作品で。今回もアルバムのために「宇宙の密林」をテーマにお願いしたら、ものすごい宇宙的な作品になってるんじゃないかと。まあ、そんな作品なので、今はあまりコンサートができないこともあって、アート展にしようって思って。
アートイベント@SOCO
崎谷 京都でやられてましたよね。場所は、ギャラリースペースみたいな?
松田 ええ。京都の河原町丸太町で、SOCOっていうカフェですね。アフリカから食材を輸入して料理を作ったりするところで。しかも、マスターはハンターなの。マタギをしていて。それで、立命館で教えたりもしていて、料理も美味しいし、何者なんだろうっていう(笑)。
崎谷 じゃあ、自分で獲物を撃ってきて、それで料理を作る?日本人の方ですか?
松田 そう、日本人ですね。
崎谷 そういえば、以前にも、宇田川町のアフリカ料理屋の話もしてくれましたよね。
松田 ああ、そうそう。すっごい美味しいところ。知ってます?昼も夜も行きますよ(笑)。
崎谷 店名はバルバドスでしたっけ?
松田 そう、ロス・バルバドスですね。カウンターだけの本当に小さいところで、パリのアフリカ人街みたいな感じ。でも、それよりも綺麗で洗練されていて、…
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