ウガンダと東京――2つの拠点をもつTERRAIN architectsにて共同代表を務める樫村芙実さん。日本各地やウガンダ、そしてインドネシアなどでも活動する国際的な建築家である。
「"地域に根差した建築"をつくるのではなく、"建築は地域に何ができるのか?"と考える。」
単に地域の表象をかぶせるのではない。彼女は、その土地で営まれる暮らしのあり方を見据え、考え抜くことで、命を宿した建築を生みだそうとしている。そして、それを、その土地に暮らす人々に任せて手放すのである。共に、ものをつくり、手渡すということ。そうした考え方の背景には、どのような想いがあるのか。彼女の一連の建築活動を通じて、その意志に迫りたい。
崎谷 こうして見ると、保育園も集合住宅も、風車的な感じのかたちになっていますけど、それは偶然ですか?
川崎市に計画している保育園を上空から見たかたち
山梨県都留市に計画している集合住宅の俯瞰図
樫村 そうですね。偶然なんですけど、今、研究室でやってるキオスクも、似たような風車みたいな形になってて(笑)。
(本記事の動画アイコンから御覧になれます。)
崎谷 ウガンダの寺子屋も上から見た写真だと、結構、風車がバーッと。
樫村 そうですね、そうかもしれない。
ウガンダの寺子屋を上空から見た様子 ©Timothy Latim
崎谷 そういうかたちを志向しているということではないんです?
樫村 そうではないと思います(笑)。ないんですけど――でも、最初のレンガ造をやってたときは、あれは低コストだから、四角くつくると楽だとか、既成の小さなサッシを使うと安くて慣れてるし楽、という感じで――守りに入ると、箱になってすぐ閉じちゃうんですよね。それを何とかレンガ造だけで開こうって考えて、細長く建てて、ジワーッと入ってこれるようにしたいというのがあったんです。なので、そのときは壁が分断しながらも繋げてくれるといいなっていうこと考えてた。表裏がなくて、正面性がなくて、回り込めるっていう・・・ずっとアプローチのことを考えていて、どうそこに入って、出てくるのかっていうことをずっと考えていたので、風車みたいに中に入っていって、また別な所から出ていくというのが、なんか形に表れてるのかもしれないですね。
崎谷 面白いですね。だって、たとえば管理とか空調とか、いろいろと閉じた方がコントロールしやすいですから。けど、やっぱ需要性高めていくと、いろいろと変化も受け入れなきゃいけない、そしてコントロールしなきゃいけない局面も増えていき…
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