Emi Evans(エミ・エヴァンス)さんは、今日様々な国際的プロジェクトに参加し活躍する音楽家・歌手である。数多くのTVCMのほか、世界的に人気を博するゲーム『NieR』シリーズや『DARK SOULS』、スター・ウォーズ最新作の『Star Wars:Visions』、現在放送中のNHK連続ドラマ『ちむどんどん』など、国内外の多種多様な作品に参加してきた。
今回のインタビューでは、英日ハーフである彼女から、文化・言語・風景などを切り口として、その独創的な表現手法とその制作秘話、歌に込められた想いを聞き、また彼女自身の原体験と未来について語ってもらった。
「録音が終わったら本当に旅から、いい旅から帰ってきたみたいな気持ちになりますね」
――現実と架空の、過去と未来の、ローカルとグローバルのさまざまな世界観を表現してきた彼女のクリエイションを、その半生とともに紐解いていく。
崎谷 3.11東日本大震災のときは、エミさんは東京にいましたか?
エヴァンス そうです。東京にいました。渋谷のデパートの15階にあるレストランで、友達の誕生日に2人で食事をしていて、ちょうど地震の話をしていたんです。その友達はニュージーランド人で、ちょうどニュージーランドでもクライストチャーチに大きな地震があった後で、その地震の話をしてるところで揺れ始めたので、本当に不思議だなと思って。
崎谷 すごい体験ですね。
エヴァンス そう。それで上から、いろいろガラスとかが落ち始めたから、テーブルの下に2人で隠れていて、また地震の話をしていました。落ち着くために、会話をそのまま続けていた。
伊藤 ビルは大丈夫でしたか?
エヴァンス ビルは平気でした。でも、綺麗なシャンデリアとか電球が、いっぱい天井に付いていたけど、ほとんど全部落ちてきたんです。グラスがもうピシピシといろんな所に飛んでいって。
伊藤 恐ろしいですね。
エヴァンス そう。結構怖かったですね。
崎谷 3.11で海を意識する人が、すごく増えたと思うんだけど、エミさんのfreesscape(フリーススケープ)のウェブサイトの写真も海の写真で、船とかもあったから気になりました。ちなみに、これはどこで撮影されたんですか?。
freesscapeの公式HPより
エヴァンス 多分、江ノ島のほうだと思います。
崎谷 江ノ島ですか。
エヴァンス そう。freesscapeのパートナーのヒロさんが当時その近くの大船に住んでいたので。
崎谷 エモーショナルな風景として、そういう海とか水辺があるのかなと思ったんですけど、どうでしょう。エミさんが住んで育った所は、海は近くないけれど。
エヴァンス そうですね。私の心の中はどっちかというと牧草地とかね。そんなに激しい、美しい景色じゃなくて、本当にこう、優しい丘いっぱいが、すごい遠くまで見れるような感じ。
崎谷 あんまり海に行ったりはなかったのかな。
エヴァンス 普段は、あまりないですね。でも、毎年夏休みとか冬休みは、おばあちゃんとおじいちゃんのいるDorset(ドーセット)に行っていたので、海は近かったですけど。
崎谷 ドーセットは、イギリスの南の方ですよね。
エヴァンス そうです。ビーチがすごくきれいで、そこで遊ぶのは大好きでした。
ドーセットの真珠・Lyme Regis(ライムレジス)の海岸線
海岸で遊んでいた幼少期のエミ…
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